2013年4月26日金曜日

天満美智子著『英文読解のストラテジー』

コミュニケーション英語の授業をしていると、「読解」ってどうすればいいんだ?という疑問符がどこからともなく出現してきて、学習者の力を伸長するにはどういった授業をすることが効果的なのかが分からなくなってきていました。そんな時に、同僚の先生からオススメしていただいた『英文読解のストラテジー』という本。1989年に初版の本ですが、英文読解に関して体系的に、かつとても簡潔にまとめられていて、もやもやしていた気持ちに少し晴れ間が差してきたように思います。

「文章を理解した」というのはどういう状態を指すのでしょうか。天満さんは次のように説明しています。

行間を補うことができてはじめて...文が理解できたことになる。言いかえれば、...文は氷山の一角のようなもので、その大半は表面に現れていない。この空白の部分を読み手のもつもろもろの知識で補足し、全体をまとまりのあるものに仕上げるのが読み手の仕事なのである。(p.4)

「行間を読む」とはまさにこのことで、読み手は様々な既有知識を応用しながら文を読み進めなければなりません。また、文を理解できたと言えるためには、①主な語句の意味が分かる、②質問に答えられる、③自分の言葉で再生産できる、または要約することができる、という3段階ができて初めてそう言えるのだと天満さんは述べています。

「読む力」を養うとはこの3段階ができるようにすることである、と考えるならば、①の段階では辞書指導、②の段階では発問、③の段階ではreproductionやparaphrase、summary writingなどの練習を積ませることが鍵になると思います。特に、②の段階では、単に学習者が教師の考えた発問に答えるステップと、自らが発問を考えながら文章を読み進めることができるステップの2つがあると思います。最初のステップで少しずつ感覚的に文章のどのような部分に着目をして読み進めていくのかという「眼」を育てることが重要であると考えました。最初は「先生だったらここを質問してきそうだな」でも構わないです。そこから「この〇×は何を意味してるんだろう」と自律的な読者になれればそれで。そのためには一旦内容理解をした上で自ら発問を作ってみるといった作業も考えられると思います(1年生が終わるときにはそのような生徒を育てたいです)。

さらに、文章の「空白の部分」を補足する、つまり推論を働かせるという練習も読解には必要です。その手助けとなるのが、前回の記事でも話題にした推論発問です。これを足場にして、その足場を徐々に取り外しながら学習者に着眼点を見出す力がつけられればと思います。


この本を読んで少し「読解力」を身につけさせる授業の形が見えたような気がします(まだまだですが)。少しずつ自分の中で構造化していこう。(しかしこのタイミングでこの本を貸して下さった先生は本当に的確だったなぁ…!)

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